New ロンドナーになるのだ!

Twiggyをこよなく愛するチオリーヌのロンドンライフやイギリス人夫との国際結婚ネタをお届け!イギリスへのワーホリ、語学留学、国際結婚に興味がある方必読♪

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7.第1章はじまりのキス 7節見ない方がよかった

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ついつい、ジョンの机の上に置かれた写真帳に手を延ばしてしまう。どうやらジョンが話していた写真帳だ。日本で過ごしていた時の富士山の写真や、東京タワーで撮った写真とかがたくさんあった。でも次のページからは彩花にとってあまり見たくなかったというか、見ない方がよかったと後で後悔するような写真たちが並べられていた。
多分ジョンが話していた日本で素敵だなと思っていた人の写真と予想できるもので、彼女を撮ったものだったり、ジョンが嬉しそうにその子の横で笑ってる写真だったり、彩花はすごく胸が痛くなった。後ろから抱きしめているものもあって、なんだかちょっとがっかりしたりした。
言葉でうまく言えないけど、彩花にだって今まで好きな人なんてたくさんいたし、写真の撮り方でその人に対してどう思っていたかなんてすぐに分かる。
それに、もう6年くらい前の写真なのにまだとっておいてるなんて、よっぽど好きな人だったのかと考えると、余計苦しくなった。
「何見てるの? ああ、日本にいた時の写真帳か。富士山うまく撮れてるだろ?」
「そうね。もしかして、この女の子、キミが素敵だなあと思っていた人?」
「そうだよ。とてもキレイな人。優しくて、イギリス人とは違った賢さやおしとやかさがあって本当に素敵な人だったと思う」
「そうなんだ… …」
「でも僕はキミの方が魅力的だと思うよ」
「ありがとう… …」
彩花はすごく複雑な気持ちになった。もしかしてジョンは自分のことが好きなのかななんて思ったりしていたのが恥ずかしくなった。きっともし彩花の事が好きなら、前に好きだった人の話なんてしないはずだ。彩花は普通の笑顔を作るのがやっとだった。でも正直言うと、怒って飛び出したいところだったけれど、ジョンは恋人なわけでもないし、彩花にそんな事をする勇気も権利もなかった。

「うわー! すごい」
ローストビーフにヨークシャー・プディング、野菜の蒸し焼きとデザートのカスタード・プディングまでついていた。イギリスの料理はおいしくないという定評もあるがそんなことはなく、お肉もやわらかくて、シュークリームの皮のようにふわふわしたヨークシャー・プディングは肉料理の添え物としてよく合っていた。イギリスの代表的なサンデーディナーと呼ばれる食事だ。
「ワインは好き? いいワインがあるんだ」
紙ナプキンまできちんと用意された食卓はイギリスの家庭の風景っぽくてかわいらしかった。
「生粋のロンドンっ子って感じしない? この食卓!」
「… …。そうかもね」
「いただきまーす」
ジョンがにっこりと笑って、頷いてくれた。ジョンを眺めているだけで本当に愛おしい気分になってしまう。
――このまま酔っぱらっちゃいたいな。
帰りはいつもみたいにジョンが家の前まで送ってくれて、また明日ねとハグをしてくれた。でもこの日はなんかいつもと違う雰囲気だった。いつもは軽くハグして、ほっぺにキスをしてバイバイだったんだけど、酔っぱらっているからかジョンのハグがいつもより強くて、苦しかった。ジョンに見つめられると彩花は心の自由が効かなくなる。
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公開日:
最終更新日:2015/07/31