New ロンドナーになるのだ!

Twiggyをこよなく愛するチオリーヌのロンドンライフやイギリス人夫との国際結婚ネタをお届け!イギリスへのワーホリ、語学留学、国際結婚に興味がある方必読♪

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11.第1章はじまりのキス 11節ドキドキして熱くて

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インターン残りの1週間は、会社全体が忙しくって、彩花がお手伝いできる範囲を超えているものばかりだった。だから、ジョンとも一緒に帰ることもできなくて、寂しかったけど、これでよかったんだって思っていた。

ジョンとおしゃべりして歩いた川沿いで1人、コーヒーを買ってぼーっとしていたら、不意に涙が出てきてしまった。ロンドン留学生活も残り4か月で、それが終わればまた日本での平凡な生活が待っている。週末は友達や彼氏と遊んだりして、何年かすれば結婚して、子どもができて、お母さんになる。そんな人生も悪くないじゃないか、なんて自分に言い聞かせたりしていたら、不意に彩花の目には涙が溜まっていた。ジョンと出会ってからの3か月間は今までの人生にないくらい本当に毎日がキラキラしてて、平凡なんて言葉は本当に似合わなかった。

――ジョンのことが大好き。

気づくと、日本にいる彼にメールを打っていた。ロンドンで守ってあげたいと思う人ができてしまったということ、たくさんのありがとうを言いたいこと、そして“さよなら”を。

「よくがんばったね! あとは論文がんばってね! 」

忙しいにも関わらず、銀行のみんながお別れ会を開いてくれた。

「ありがとう! ここのレストラン来てみたかったの。すごくうれしい。私みたいなインターンにもみんな優しくしてくれて本当にありがとう。またぜひみんなに会いたいし、日本に来るときにはぜひ連絡してね」

でも、そこにはジョンの姿がない。

――好きだってわかった時にはもう時すでに遅しってやつなのかなあ… …。まあ自業自得かあ。

みんなも集まってるし、しょぼんとした態度は出せないけど、ちょっと寂しくなってきていたところに、

「ごめんごめん。遅れちゃったよ」

息を切らせてジョンがやってきた。

「これキミに」

「え? 私誕生日でもないよ?」

ジョンが持ってきたのは、なんか映画とかドラマでしかみたことないような大きなピンクのバラの花束だった。

「いいのよ! 彩花もらっときなさいよ!」

みんながくすくす笑う中、よくわからないけど花束を受け取りお別れ会を後にした。

「こんなすごい花束、日本だったらプロポーズの時くらいね。渡すのは」

「そうなんだ。日本人の男の人って恥ずかしがり屋なのかな。イギリスでは普通だよ」

「そ、そうなんだ。そう言えば、今日素敵なところに連れて行ってくれるって言ってたよね?」

「そうだよ。さっそく行こう。実はそれキミの家の近くなんだ」

「えー!? そうなの?」

2人で何度も歩いた川沿いを寄り添って歩いていく。いつもは酔っぱらって歩くことが多かったけど、今日は2人ともそんなにお酒も飲んでなくて、なんかお互い今日であんまり会えなくなるって思ってるのか会話がいつもより少ない。

「ここから目をつぶってくれる? 僕が誘導するから」

「えー? 怖いよ」

「心配しないで、僕を信じて」

そう言ってジョンは彩花の手をそっと引っ張っていく。どこかの階段を上っているようだった。

「はい、目を開けてみて」

それは、よく夜景を眺めていたビッグベンだけど、今まで考え付かないロケーションからの夜景だった。普段ビッグベンの夜景は橋の上から見たり、川沿いから見たりするものなのだけれど、シンと静まり返ったビルの非常階段からの夜景は、周りに人もいなくって本当に2人きりで夜景を楽しめるところだった。

「キミがビッグベンが好きだって言ってたから、この場所探したんだ。すごいだろ?」

「本当にすごい。この必死さを仕事にも活かしていかないとね。キミは」

「本当だね。彩花がいなくなるから、1人でまた頑張らなくては」

「うん」

ビッグベンが全部見渡せるその夜景は、本当に時間を忘れさせてくれる素晴らしさだった。ピーター=パンの映画で彼らがネバーランドに向かう時間12時の鐘がロンドンに鳴り響いた。沈黙の時間が流れた。

「この前はごめん」

ジョンがそっと沈黙を破った。

「僕は本当にキミのことをすごく素敵な人だと思っていて、キミ以外の人が傍にいる事なんて考えるとはできないんだ。信じてくれるかい?」

ジョンがそっと彩花を抱きしめる。

気温は多分3℃くらいなんだけど、今までにないくらいドキドキして熱くて溶けそうだった。

「今日でインターンは最後なんだけど、僕はこれからもキミに会いたいと思ってる。キミも同じ気持ちでいてくれると嬉しいんだけど」

もちろん彩花も同じ気持ちだった。彩花はその気持ちがいっぱいに表現したくて、笑顔でジョンに向かって小さくうなずいた。

「キミを愛してる。僕を信じて欲しい」

ジョンは、おでこに優しいキスをしたあと、2人は初めてのキスをした。本当に今までに感じたことのない、優しい甘さがあってお互い夢中になった。

その夜は、この世界は2人のためにあるんじゃないかって冗談じゃなく、心からそう思うほど素敵だった。

――私はきっと今、世界で1番幸せな女の子だ。

1章 おしまい
●目次
●『第2章 知らなくちゃいけないこと 1節シンデレラと魔法』にすすむ

公開日:
最終更新日:2015/07/31