New ロンドナーになるのだ!

Twiggyをこよなく愛するチオリーヌのロンドンライフやイギリス人夫との国際結婚ネタをお届け!イギリスへのワーホリ、語学留学、国際結婚に興味がある方必読♪

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14.第2章知らなくちゃいけないこと 3節大変なところに来てしまった

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「これがジョンの実家なの? 」
「そうだよ。ちょっと驚いてしまったかもしれないけれど、僕の家は500年続く伯爵家なんだ。キミに黙っていたわけではないのだけど」
「え!? え!?」
――伯爵家!? まってまって!! 意味が分からないよ。何それ!?
彩花は何がなんだかよくわからなかったけど、ジョンが貴族であることだけはわかった。そして、ジョンは彩花の手を自分の腕にそっと乗せると大きな扉へと誘導した。
彩花は自分で気づかないうちに震えてしまっていた。漫画で貴族のお話は読んだりしたことはあるけど実際に出会ったのはもちろん初めてで、大変なところに来てしまったと彩花は本当に逃げ出したくなった。
恐る恐るジョンに手をひかれて家の中に入ると、高い高い天井のエントランス・ホールが現れた。クリスタルのシャンデリア、床には真っ赤な絨毯が敷き詰められ、目の前広がる2つの大きな階段はゴールドに輝いていた。奥まで続いている長い廊下には美しくシャンデリアが連ねられていて、おとぎ話のように迷い込んでしまったようだった。
「ロード・ジョン・オズバーン。ようこそ、お久しぶりですね。みなさんお揃いですよ。初めまして。私はオズバーン家に代々従事しております執事のアドルフでございます。さあ、お嬢様もこちらへお越しくださいませ」

執事なんて漫画や映画の中だけに存在する人物だと思っていたが、今もなお存在するのかと彩花は驚いた。使用人の中でも最も地位の高い役職である執事は、主人や来客の話、すべてに対応できる教養を身に着けておかなければならず、今でも執事になるための専門機関がイギリスには存在する。使用人を何百人もお屋敷にいたころには、この執事に対しても使用人が何人もついていたんだとか。
「なんで今キミはロードって呼ばれたの? 」
「ロードというのは伯爵の称号で、お父様と長男である僕は名前にロードがつくんだ」
「そうなんだ… …」
日本にも貴族という文化が昔はあったが今はほぼ消滅しているに等しい。だけど、イギリスではまだまだ階級制度が根強く残っていて、貴族たちの存在も大きい。イギリスの爵位は7つあって、公爵→侯爵→伯爵→子爵→男爵→準男爵→ナイトと続く。それぞれの爵位によって、デュークやロード、サーなど呼び方が変わるそうだ。大昔から国に対しての貢献度によって、この爵位が与えられてきていて、ただ、漫画や映画の中で映し出されるきらびやかで呑気なセレブというわけではなく、貴族にとって大切なことは社会奉仕など市民のリーダーシップをとることだという。
――その時私はまだ状況がつかめなくって、ジョンに説明されながら、みんなが集まる広間へ移動した。廊下にはジョンの家のご先祖様の絵が飾られていて、私はただ漠然とジョンはお金持ちの息子なんだなあ~くらいに思っていた。冗談じゃなく、本当に。
でも次の瞬間“ただのお金持ち”なんかで済む人じゃないことに気づかされる。一気に口の中が乾いて彩花は声を盗られてしまったかと思った。
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公開日:
最終更新日:2015/07/31