New ロンドナーになるのだ!

Twiggyをこよなく愛するチオリーヌのロンドンライフやイギリス人夫との国際結婚ネタをお届け!イギリスへのワーホリ、語学留学、国際結婚に興味がある方必読♪

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15.第2章知らなくちゃいけないこと 4節晩餐会

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そこは晩餐会が開かれるボール・ホールと呼ばれる部屋で、白い壁一面にゴールドの装飾が細部までほどこされていて、壁には先祖のタペストリーが飾られ、メインの席の後ろには大きな暖炉、そしてゴールドのキャンドル立てには大きな大きなキャンドルがゆらめいてた。美しい赤の天井にも余すところなくゴールドで模様が施されていて、どこを見てもため息が出てしまうような美しさだった。椅子やテーブルも美しくレイアウトされていて、椅子は白地に小花柄の模様がゴールドの色で細かく刺繍されている素晴らしいアンティークのものだった。きっと何百年も前のものなのだろう。でもそれを大事に今もなお使っている古き良きものを大切にするイギリスの文化もまた素晴らしいものだ。

招待客の女性たちはベスが彩花のために見立ててくれたような袖なしのロングドレスで背中と胸元がたっぷりとあいたドレスに身を包んでいて、男性たちは黒の蝶ネクタイで、まさに映画で見たことのある“晩餐会”そのものだった。

「さあ、ここに座って」

ジョンは彩花を一つの円卓席に座らせてどこかへ行ってしまった。今日はジョンの誕生日会なので主役が忙しいのは仕方ない。

「アヤカ! やっぱりよく似合ってるわ。今日このパーティーであなたが1番素敵よ。私のコーディネートは100%正解ね」

「ベス、この前は本当にありがとう! でも今私状況がつかめなくって… …」

「大丈夫よ、アヤカ。ちょっとびっくりしてしまったかもしれないけれど、すぐに慣れるわ。あ、弟のマクスウェルを紹介するわね」

「はじめまして。僕はジョンの弟のマクスウェル。兄からいろいろと話は聞いてるよ。よろしく」

「はじめまして。彩花です。ジョンとはインターン先の銀行で知り合って… …」

「あ、もう会が始まるわよ」

自己紹介もままならないまま、晩餐会はスタートしてしまった。テーブルのレイアウトは爵位の高い人たちの上座を筆頭に構成されている。日本の結婚式のスタイルに似ているかもしれないが、階級制度を重んじるイギリスではちょっとした間違いが後々の付き合いに響いてくる。

「本日はオズバーン一族、次期伯爵になられますロード・ジョン・オズバーンの輝かしい26歳のお誕生日会にお集まりいただきまして誠にありがとうございます。… …」

司会者の話も耳に入ってこないほど、状況が未だにつかめていない彩花がいたが、ジョンが招待客に向けて挨拶を始めた。

「みなさま、本日はお集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日はお集まりいただきました皆様のために、私の生まれた年のロマネ・コンティをご用意させていただきました。ぜひ皆様に最後までお楽しみいただければと思います」

パブで子どものように泣いたり、一緒にいるときにはしゃいだりしているジョンの姿はみじんも感じなくて、いつもとは全く違うジョンがそこにはいて、彩花は本当にびっくりした。

――ジョンの存在が遠く感じるよ… …

晩餐会の食事が始まっても、なかなか食事がのどを通っていかない。テーブルには春先らしい色の花が可愛く飾られていて、ピカピカに磨きあげられた銀のカトラリー、ゴールドで縁取られた白い大きな食器、ぎゅっとつかむと壊れてしまいそうなグラス、本当に見ているだけでおなか一杯になってしまう。とにかく出てくる料理をひたすら食べ続けて彩花は気を紛らわした。

ジョンは今日の主役だしいろんな人に挨拶をして回っていて忙しそうだった。ベスやマクスウェルやは彩花の事とても気を使ってくれて、一生懸命いろいろ話してくれたりしたけど、彩花はなんだかここにいちゃいけないような気分になってしまった。
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最終更新日:2015/07/31