New ロンドナーになるのだ!

Twiggyをこよなく愛するチオリーヌのロンドンライフやイギリス人夫との国際結婚ネタをお届け!イギリスへのワーホリ、語学留学、国際結婚に興味がある方必読♪

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17.第2章知らなくちゃいけないこと 6節世界中のロマンチックを集めた光景

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彩花は日本でも一般家庭とは言え、中の上以上の家庭ではあったし、どこに出ても恥ずかしくないように教養は身に着けていたはずだが、イギリス貴族の文化はまるで違う。話し方、食事の仕方1つでどの階級に属しているかをすぐ見抜いてしまう人たちだ。馬の乗り方すら知らない東洋からやってきた女の子が太刀打ちできるわけがない。考えすぎるとため息しか出ていないことに気づく。
――ため息なんてついてちゃダメだって、自分に何度も言っているのに… …。
お庭はまるでロンドンからも電車ですぐ行けるキュー・ガーデンや、ハンプトン・コートパレスのような美しさで、毎日専属の庭師が手入れを行っているという。キュー・ガーデンにはビクトリア朝の美しいガラスの大温室パーム・ハウスがあって、らせん階段で植物を見下ろしながら楽しむことができる。この屋敷の庭にも、それを真似て作ったと思われる小さな温室があった。中では色とりどりのオウムが飛び回っていて、南国のようだった。お庭の道沿いに続く春を感じさせる色とりどりのお花と丸く刈り込まれた木々の雰囲気はまるでハンプトン・コートパレスの“東の庭園”だった。イギリス貴族の屋敷や宮殿は古いものは1000年も前のもの、新しくても100年前に建てられたりしたものがほとんどで、部屋の内装や庭のデザインはその時代の流行に合わせてどんどん階層される傾向がある。ガーデンもキュー・ガーデンとハンプトン・コートパレスの時代は何百年も違っているのに、融合してもなぜかエレガントな統一感があってセンスの良さを感じる。屋敷の東側に広がる大きな湖には、たくさんの鳥たちがのんびりと暮らしているという感じ。湖にはボートもあり、ジョンとベスとマクスウェルは幼少期によくこのボートに乗って遊んでいた。こんなところは観光以外で来たこともなく、未だにこんなところに暮らしている人がいるのかと思うと彩花は自分の生活との違いに唖然とした。

この屋敷自体にも昔より減ったものの10人もの召使がいて、昔と変わらず週末には馬に乗ってみんなで狩りに出かけたりとかいまだにしているという。ベスの話を聞いてると小さい頃から通ってきている学校の生徒はすべて英国貴族を含む世界中の上流階級のようだ。
イギリスの貴族や上流階級の子どもたちは全寮制のパブリック・スクールと呼ばれるいわゆる日本の超有名私立の中高一貫に通い、そこで、学業だけでなくスポーツなどにも力を強い団結力も養わせる。将来が約束された子どもたちだけで過ごすその学校は、イギリスが舞台のハリー・ポッターの世界がそのまま現実世界で行われているということ。この多感な思春期をパブリック・スクールで過ごしたか過ごさないかで、子どもの間でも階級意識が生まれるのだ。ただ、ベスやジョンを見ていると一般人はダメという考えを持っているわけではなかったけど、一般人の生活との感覚はやはり違うなという感じを彩花は受けた。“あたりまえ”のレベルが貴族は一般人の10倍も20倍も高い。
「私、イギリスの文化が大好きで、本当はずっとここに住みたいの」
「そう言ってもらえると嬉しいわ。時々窮屈に感じる事もあると思うけれど」
「日本に比べたらそんな事ないと思う。みんなちゃんと自分の意見を言えるし、自分の本当にしなきゃいけないことを若いうちから見つけてる気がする」
「アヤカ。それは国に限らず自分次第よ。あなたも自分がこれからどうしたいのか見つけられるようにしなくてはね。私はいつでも相談に乗るわよ。さあ、もう少ししたら舞踏会が始まるわ」
30人以上のオーケストラの楽団がすでに準備万端という形で待ち構えていた。晩餐会が行われたボール・ホールが舞踏会仕様に変わっていて、開け放されたガラスの扉からはお庭を見渡すことができた。湖には月が写ってゆらゆらしていて、世界中のロマンチックを集めたような光景だった。
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公開日:
最終更新日:2015/07/31