New ロンドナーになるのだ!

Twiggyをこよなく愛するチオリーヌのロンドンライフやイギリス人夫との国際結婚ネタをお届け!イギリスへのワーホリ、語学留学、国際結婚に興味がある方必読♪

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18.2章知らなくちゃいけないこと7節キミは僕にとってスペシャル

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「アヤカ」
ジョンが人ごみをかき分けて彩花のところに駆け寄ってきた。
「ベスがお庭を案内してくれていたの。本当にすごいね。ジョンってすごいんだね。私なにも知らなかったよ。ジョンのこと何も知らない。なんか… …」
彩花は突然すっごく悲しくなって、たくさんの人がいるにも関わらず泣いてしまった。
――ジョンは私と仲良くしてくれているけど、私の手の届かない人だったんだって思ったらあのキラキラした毎日が一瞬にして終わってしまったような気がしたの。
「泣かないで。こっちへおいで、話をしよう」
ジョンは誰もいないゲストルームに彩花を連れて行ってギュッと抱きしめた。
「今日は本当に誘っておいて全然相手してあげられなくてごめん。キミが驚いてしまった気持ちはわかるんだ。だから今まで話すことができなかった。でも、普段の僕を知っているキミなら僕が毎日こんな生活を今は送っているわけじゃないのはわかるだろ? 秘密にしていたことを怒ってる?」
「ううん。違うの。普通に暮らしてたら見ることのできない世界が見れてすっごく感動してるよ。でも、私なんて普通の家庭で育って、特別な教養があるわけでもないし、キレイなわけでもないし、セクシーでもなくてジョンに釣り合うような女の子じゃないんだなあって思ったらちょっと悲しくなっちゃっただけ。あと3か月もしたら私はまた日本に戻って普通の平凡な暮らしを送るの。きっと、何年かしたら結婚して、子どもができて、お母さんになって、ロンドンで過ごした楽しい思い出を話すんだと思う。ただ… …」
心にためたものが、一気に溢れ出した。せっかくパーティーのために一生懸命メイクしてきた顔も台無しになっちゃうくらい大泣きしてしまった。

「そんなことない… …。そんなことないよ、彩花。キミは僕にとって本当にスペシャルな女の子で、今まで出会ったことのない女の子だよ。周りへの気配りだって完璧だし、なによりも僕はキミといると本当の僕になれるんだ。キミが一番知ってるだろ? 僕がどれだけ情けない人間で、貴族なんて名ばかりで、まったく完璧じゃないってこと。泣かないで。キミは僕にとって世界一キレイな恋人だよ。誰にだって自慢できる最高の女性だよ」
「でも私ドレスコードのこともよくわからなくって、食事のマナーだって完璧じゃない」
「それはちゃんとこれから僕が教えてあげるから大丈夫だよ。僕はちゃんとわかってるつもりだよ、僕らの常識がキミたちの常識とは違うってこと。だから安心して。僕は一度もキミのことを一般人だからダメだなんて思ったこともないよ。人は誰しも完璧じゃないんだ、僕もキミも。それがいいんだよ。キミにはキミの温かさがある」
そういってジョンは優しく涙を拭いて、彩花にそっとキスをした。ジョンのキスは、本当に特別な甘さがあって、彩花のドロドロした気持ちをふわっと優しい気持ちにさせる不思議な魔法みたいなものだった。
「さあ、いこう」
ボール・ホールに戻ると、舞踏会が始まるのを待った招待客でいっぱいになっていた。
「ダンスパーティーの前に、本日の主役ロード・ジョン・オズバーンよりみなさまにお話がございます」
「一緒に来てくれる?」
「え? な、なに?」
彩花はジョンに手をひかれてみんなの視線が集まるど真ん中に連れていかれた。
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公開日:
最終更新日:2015/07/31