New ロンドナーになるのだ!

Twiggyをこよなく愛するチオリーヌのロンドンライフやイギリス人夫との国際結婚ネタをお届け!イギリスへのワーホリ、語学留学、国際結婚に興味がある方必読♪

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20.第3章試練 1節レディーとしてのたしなみ

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「あーーー。論文が進まない… …」

大学院も3学期を迎えて彩花は週末ジョンと会う以外は論文に追われていた。ひたすら図書館にこもり、パソコンに向かう。でもすぐにジョンの事ばかり考えて論文が進まなくなってしまっていた。

集中力が欠けた状態で書いた論文は、教授にダメだしされてばかりで、はっきりいって最悪だった。

――もう後3か月しかないのにこのままじゃ卒業できない… …。大学院もまともに卒業できないようじゃ、ジョンのご両親やもちろん自分の両親にも顔向けできない。とにかく今は集中するしかない。

でも彩花がそう気合いを入れなおしたタイミングでジョンからのメッセージがやってくるのだ。

「アヤカ、明日土曜日のお茶会だけど昼2時に彩花の家に迎えに行くから待っててね」

――そうだった… …。明日はジョンのお母様からお茶会に誘われているんだった。まあ友達とアフタヌーンティーならなんどもしたことあるし、特別何かしなくちゃいけないってこともないよね。

彩花はこの時、本当にそれどころじゃなかったんだ。

「ようこそアヤカ。さあさあ、みなさん、こちらの方はジョンのお付き合いされている方なのよ。今日はせっかくなのでお呼びいたしましたのよ。」

お茶会には10人くらいの人がいてどうやらみんなジョンの一族と付き合いのある貴族の人たちのようだった。日本に来たことがある人も中にいて、話ははずんだ。

――でもお母様がなんとなくの事を私の事をずっと見ている気がする。まあでも長男の恋人ならどんな子か気になるのは、貴族だろうが一般の子どもの親だろうが同じなんだろうな。

「アヤカ、ちょっとお話できるかしら」

お茶会の途中にお母様に呼ばれて別室に連れていかれた。

――もしかして何か私しちゃったのかな… …。

「今日は来てくださってありがとう。みなさんお茶会をとても楽しんでくださっていたわ。あなたも楽しめたかしら?」

「はい! 本当にお誘いいただいてありがとうございます。紅茶もスイーツもとてもおいしかったです」

「それはよかったわ。ただ、いくつか気になったのでちょっとお話しておくわね。これはレディーとしてのたしなみだから覚えておくべきことよ。ティーフーズは最初からスイーツを食べてはダメ。サンドイッチ、スコーン、スイーツの順番でいただくのよ。これは常識として知っておかなければ」

「は、はい… …。すみません… …」

ジョンのお母様が嫌味で言っているわけではなく、レディーとしてのマナー教えてくれているというのは彩花もよくわかってた。ただ、論文に追われて精神的に参っていた彩花には正直重い。

そのほかにもアフタヌーンティーにはいろいろな決まりがあって、ダイニングテーブルの高さのテーブルであればティーカップだけを持ち上げ、低いテーブルならティーカップとソーサーも胸の高さまで持ち上げてお茶をいただくこと。お砂糖を入れる場合は、スプーンですくってそっとカップの中にいれること。そして、アフタヌーンティー主催者の女性以外ティーポットに触れてはいけないということ。これもまた話し方ひとつで、育ちが分かってしまうように、紅茶の飲み方、器の持ち方ひとつでも育ちを見られているということなのだ。

「お母様に何か言われたの? 大丈夫?」

ジョンが心配そうに帰り道、彩花に尋ねる。

「ほら、私礼儀作法とかしらないからさ。こうした方がいいわよってアドバイスしてくださったの」

「そっかそっか。それならいいんだけど、もし何かあったら僕にすぐに言ってね。僕はいつでもキミの味方だからね」

「ありがとう!」

ジョンの優しさはいつだって、チョコレートよりも甘くって優しい気持ちになれた。彩花は次のお茶会の時には絶対に失敗しないように家でも紅茶の飲み方を練習したりできる限りジョンに見合う女性になろうと努力した。
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公開日:
最終更新日:2015/07/31