New ロンドナーになるのだ!

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21.第3章試練 2節ロイヤルアスコット

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それから、ジョンの家の行事にお呼ばれされることが多くなり、ジョンと2人で過ごしていた週末が、2人で過ごす時間よりもジョンの一族のみんなと過ごすことの方が多くなって、受け入れてくれている感じは嬉しかったけど、すごく気を使うことが多くてちょっと週末が彩花にとって憂鬱になることもあった。

彩花は乗馬もできないし、華やかなパーティーの話のネタもない。論文も大詰めを迎えていて、精神的にも体力的にも疲れていた。ジョンはいつも気を使ってくれていたけど、やっぱり1人だけ東洋人で、まったく育ちも違うし、孤独感を感じることも多かった。

ただ、やはり普通に暮らしていては経験できないようなことも多く、ロイヤルアスコットレースはその1つだった。イギリス王室が主催する競馬のレースで、レースよりも女性陣たちの華麗な帽子やファッションが注目されるイベントだ。もちろんこれも250年もの歴史ある社交界の一つ。ドレスコードも厳しく、男性は燕尾服にシルクハットをかぶること、女性陣はフォーマルドレスに合わせて花や羽をあしらった華やかな帽子が必要で、日本の競馬場のイメージとは全く違う映画のセットのような世界だった。

こんな時いつも助けてくれるのは、ジョンの姉ベスだった。

「ベス、ロイヤル・アスコットの時、私どんな格好していけばいい?」

「そんなの簡単よ。自分の国籍の民族衣装は最大のフォーマルなドレスとして認められているの。だからあなたは間違いなく着物を着てきなさい」

ベスのアドバイス通り彩花は友達に借りた着物を着て行った。ジョンの一族はもちろんプライベートボックスを確保していて、周りにはジョンたちのような上流階級の一族がこぞって参加し情報交換の場になっていた。夜には舞踏会が開かれ、イギリス中の貴族たちがこういう社交界の場で同じ身分の恋人を探す。ジョンの一族は歴史が深く由緒正しい貴族なので、ジョンに寄ってくる女性も多くて、ちょっと不安になったりしたけれど、ジョンはどんな着飾った女性たちよりも彩花が一番キレイだと褒めてくれた。

彩花は少しずつだけれど、ジョンの親族にも溶け込み始めていた。最初は何の階級も持たない東洋の女の子が彗星のごとく現れ、次期伯爵のジョンが東洋人を連れてきたと奥方たちの格好の噂話のネタだったが、彩花の凛とした雰囲気や振る舞いは、ジョンが連れてくるだけのものはあるなという見方に周り変わってきていたからだ。謎の東洋人から次期伯爵の恋人としてみんなが意識し始めていた。ただ1人を除いては… …。
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公開日:
最終更新日:2015/07/31