New ロンドナーになるのだ!

Twiggyをこよなく愛するチオリーヌのロンドンライフやイギリス人夫との国際結婚ネタをお届け!イギリスへのワーホリ、語学留学、国際結婚に興味がある方必読♪

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22.第3章試練 3節男爵家の娘エイミー

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「ねえ、アヤカちょっといいかしら」

舞踏会の途中で話かけてきたのは、ジョンの父親と仲の良い男爵家の娘エイミーだった。ジョンの誕生日会にも出席していて、彩花がジョンと一緒に参加する行事の時には必ず出席していたので、彩花自身はあまり話したことはなかったけれど、顔見知りではあった。

「もちろん」

ジョンにちょっとガーデンに出てくると伝えてエイミーと一緒にガーデンにでた。

「ジョンと本当に仲がいいのね」

「まだまだ私も努力しなくちゃいけないけれど」

「そうね。あなたはもっと努力するべきだと思うわ」

「え… …」

「あなたを見ていると、子どもを見ているみたいよ。はっきり言って恥ずかしいわ。ジョンは次期伯爵なのよ? だと言うのに、あなたはいつもヘラヘラしてジョンにくっついていて、それでも次期伯爵の恋人っていう自覚あるの?」

――そんな事言われても… …。

彩花は突然の事で、自分が今どういう状況に置かれているのかわからなくなった。せっかく少しずつだけど、馴染めてきたと思った矢先にこんな事を言われるとは思わなかった。

「私は、小さい時からジョンの事を知っているわ。本当に素敵な人よ。頭もよくて、立ち振る舞いも爵位も貴族の中でもトップクラスよ。それに比べてあなたなんて、貴族でもなんでもないじゃない。イギリスで言えば、ワーキングクラスってところかしら」

階級制度が根強く残るイギリスで、ワーキングクラスと言えば、最低ランクの階級だ。どんなにがんばっても、道路工事やビル建設の職場などから抜け出すことはできない。特別な才能を持っていなければ。

「あなた、今イギリスの大学院に行ってるんですってね。それが終われば日本へ帰るんでしょう?」

「一応その予定だけど… …」

「自分の将来もちゃんと決めていないわけ? 本当に子どもみたいな人ね」

彩花にはなぜエイミーがこんなことを言ってくるのかなんとなく分かっていた。と言いうのも、どんな行事の時もジョンと彩花が会場に到着するとすぐにジョンの傍に飛んできてたから。

――エイミーはジョンの事が好きなんだろうな。

でも、まだ17歳のエイミーに対して、ジョンが特別な感情を持って接している様子もなかったし、むしろ妹と接するような態度だったので彩花は何も気にしていなかった。ただ、エイミーはジョンの事が本当に好きなのだろう。若いがゆえに、自分の感情をむき出しにして、彩花に牙をむいてきている事くらいすぐに分かった。

「大学院もあと3か月だし、ちゃんと将来の事を考えなくてはと私も思っているわ」

「日本に帰ったらジョンとはどうするつもり?」

「それはまだ分からないわ。彼と結婚する約束をしている訳でもないし」

「なによそれ。じゃあ、私の邪魔をしないでくれるかしら? 私のお父様とジョンのお父様はとても仲がよくて、昔からジョンと私は結婚するって決まってるのよ。私たちは許婚なの。だから私はあなたみたいな人が現れて驚いているわ。親戚もみんな知っている事実よ? 知らないのはあなただけ。恥ずかしいと思わないの?」

そんな話は、ジョンからもベスからも聞いたことはなかった。

「それ、本当なの?」

「そうよ。でもあなたはそれを他の親族に質問することはできないわ。そんな恥ずかしい事聞けないでしょう? それを周りに聞くって事は、あなたが自分自身で周りに“私は遊ばれているんですか? ”って聞くのと同じくらい恥ずかしい事よ」

「… …」

「だからあなたはすぐにジョンから離れるべきよ。傷つくのは自分よ? それにあなたはジョンにふさわしくないってみんな陰で言ってるわ」

そう吐き捨てて、エイミーはジョンの元に行ってしまった。彩花は混乱して、その場に立ち尽くしてた。どれくらいそこに立ち尽くしていたのかわからないけど、周りの人たちが不思議そうな目で彩花を見ていた。
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公開日:
最終更新日:2015/07/31