New ロンドナーになるのだ!

Twiggyをこよなく愛するチオリーヌのロンドンライフやイギリス人夫との国際結婚ネタをお届け!イギリスへのワーホリ、語学留学、国際結婚に興味がある方必読♪

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27.第3章試練 8節フランス人男性トーマス

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弱っている時、悪い事が忍び寄っていても気づかないことがある。大学の図書館で論文をまとめているといつも同じテーブルに座ってくる男性が彩花に声をかけてきた。
「いつも同じテーブルになるね。キミは日本人?」
「そうよ。私はアヤカ。キミは?」
「僕はトーマス」
トーマスは同じ大学院に通うフランス人で研究室は違うけれど、いつも真面目に論文に向かっている姿は印象的だった。休憩を取るタイミングが一緒になり、お茶をしに行くことになった。
「へえ! キミもう28歳なのか。見えないね」
「よく言われるわ。パブに行く時なんて毎回身分証明書の提示を求められるもの」
「そうだろうね。でもキミはとてもキレイだと思うよ」
欧米の人たちは褒め言葉は、どんどん出てくるから本当に感心してしまうことが多い。ただ、誰にでも言っている事がほとんどなので、嬉しい反面、いちいち反応に困ることもある。
「もしよかったら週末飲みにいかない?」
「あー… …。スケジュール確認してなにもなければ」
「わかった! これ僕の番号だからスケジュールがわかったらメールして」
そうは言っても、正直他の男の人と飲みに行くような気分ではなかった。
――まあ、ほっとけばいっか。
でも、ほっとかれて黙っているのがフランス人ではない。“女性を誘うことが礼儀”とも言われるフランス人男性トーマスは次の日また同じテーブルに座ってきて、スケジュールはどうだったのか彩花に尋ねてきた。

「ごめんなさい。今飲みに行ったりしたい気分じゃないの。だから… …」
「そんな時こそ、飲みに行かなくちゃ」
「え… …」
「貸して!」
トーマスは勝手にテーブルに置いていた彩花の携帯電話をつかみ取り、自分の番号を登録し、自分の携帯電話にも彩花の番号を登録した。
「じゃあ土曜日、ブリックレーンで待ち合わせ。ヴァイブバーの前で6時に待ってるよ。じゃあな」
「え… …。ちょ、ちょっと!」
そう言ってトーマスはさっさと図書館を出て行ってしまった。ただ、週末は特に予定もなく、外には出たい気分になっていたので、彩花はトーマスとの待ち合わせ場所に向かうことにした。
トーマスと待ち合わせしたブリックレーンはロンドンの中でも最先端のカルチャーが発信されているエリアで、ジョンと食事したり飲みに行ったりしていたチェルシーやメイフェアとは全く違った雰囲気を持ったエリアだ。
「アヤカ。ここに来たことはあるかい?」
トーマスと一緒に行ったお店はブリックレーンの中でも人気の店で、クラブとパブが一緒になったようなおしゃれな人たちが集まるお店だった。
「初めて。あんまりこっちの方に飲みに来ないから」
「ロンドンに住んでるのに? いつもどこで飲んでたの?」
「メイフェアとかチェルシーにあたりかな」
「そんなつまんないところで!? ロンドンにいるのにもったいないよ」
トーマスは最近お気に入りのクラブの話や、スペインに旅行に行った時の話などをぺらぺらと1人でしゃべっていた。ジョンと2人でいる時のゆるやかに流れる時間に慣れてしまっていたせいか、トーマスとの時間は彩花にとってかなり疲れる時間になってしまった。
――明日予定があると言って、そろそろ切り上げよう。
彩花がそろそろ帰ると告げると、1人で酔っぱらってしまったトーマスが駅まで送っていくと言ってわざわざついてくる事になった。
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公開日:
最終更新日:2015/07/31