New ロンドナーになるのだ!

Twiggyをこよなく愛するチオリーヌのロンドンライフやイギリス人夫との国際結婚ネタをお届け!イギリスへのワーホリ、語学留学、国際結婚に興味がある方必読♪

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29.第3章試練 10節努力はきっと無駄にはならない

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「会いたかったわ、アヤカ。あなたちょっと痩せたんじゃない?」

「最近ちょっと論文が忙しくて、食べる事を忘れていることもたまにあって」

「ダメよ、ちゃんと食べなくては。いい論文が書けないわよ」

ベスは本当に頼りになるお姉さんだった。たわいのない話をして、本題に入る。

「あんなに頑張っていたのに、どうして別れることになってしまったの? アヤカ」

「… …」

女友達として会っているとはいえ、やはりジョンの姉でありエイミーともつながっていると思うと今日はいろいろと話を聞いてもらおうと思っていたのに躊躇してしまう彩花。ふと、心の隅から動かないジョンの笑顔を思い出してしまい、彩花は泣き出してしまった。

「いろいろと我慢してきたのね。もっと早くあなたの力になってあげられれば… …」

「いや、ベスは悪くないの。何も」

ベスは優しく彩花の手を握り、彩花が落ち着くまで待った。

「私、エイミーからいろいろ聞いてしまったの。 エイミーはジョンの許婚で私が突然現れて、みんなすごく困ってるって。私何も知らなかった。ただ純粋にジョンに恋してしまっただけなの。私なりにできる努力はいろいろしたんだけど、やっぱり私は貴族にはなれないじゃない? 全然違う国から来た私には努力しても出来ないことがあるんだってわかったの。そうしたら、もう無理なんだなって思って」

「それ、エイミーが言っていたの?」

「うん。確かに彼女の言うとおり、私はジョンにとって恋人として不釣り合いなのはわかるわ。あなたは階級を気にせず私と友達として付き合ってくれているけど、恋人となると違うんだなって」

「アヤカ、階級は関係ないわ。イギリスが好きなら知っているでしょう? ウィリアム王子はロイヤルファミリーで次期国王になる人、そしてその王子と結婚したのは貴族とはいえ、一般家庭の人よ。ロイヤルファミリーと一般人が結婚するのは350年ぶりだと言われているわ。階級制度が残るとは言っても、結婚できないわけではないし、隔離されているわけでもないのよ。私やジョンだって普通に一般企業で働いているし、私の恋人だって別に貴族なわけじゃないわ。それに、エイミーは許婚でもなんでもないわ。あなた騙されてるわよ。それジョンに話したの?」

「いや、話していないわ」

「エイミーはあなたにいろいろと吹き込んだように、ジョンにもいろいろと吹き込んでいるわね。きっと。かわいそうに。辛い思いをしたでしょう」

ベスがそう言って彩花を抱きしめると、彩花は今までため込んでいたものが溢れ出してしまった。

「ジョンに私から説明するわ」

「いいの、ベス。私、もう少ししたら日本に帰国しなくちゃいけないの。もうこれ以上辛い思いをしたら大学卒業できなくなってしまうかもしれない。だから私あとは勉強に集中したいの」

――私の努力はきっと無駄にはならないはず。ベスが真実を知ってくれてさえいればいいんだ。

彩花の考えに、ベスは不服そうな顔をしながらも“わかったわ”と答えた。

――これで論文に集中できる。がんばらなくちゃ。
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公開日:
最終更新日:2015/07/31