New ロンドナーになるのだ!

Twiggyをこよなく愛するチオリーヌのロンドンライフやイギリス人夫との国際結婚ネタをお届け!イギリスへのワーホリ、語学留学、国際結婚に興味がある方必読♪

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30.第3章試練 11節短くて長い隙間

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彩花は夜遅くまで図書館にこもるようになった。教授にチェックしてもらって、また書き直しての繰り返しだった。でも、日々自分でもいいものが出来上がってきていることを確信していた。夜11時を過ぎるころ、彩花が家に戻ろうとすると、ゲートの前に誰か立っていた。暗くて見えないが、誰かがいる。

――うわあ… …。イヤだなこんな時間に。

顔を合わせないように、素早く家に入ろうとすると、聞きなれた声に呼び止められた。

ジョンだ。

「ごめん。こんな時間に」

「何?」

「ベスから話を聞いたんだ。僕はキミの気持ちをちゃんと聞くこともせずに頑固になってしまっていた。本当に申し訳ない」

「もういいの。気にしていないわ。私疲れているの。すぐ寝たいから、じゃあ… …」

その場を立ち去ろうとする彩花をジョンは後ろから抱きしめた。

「キミの声が聞けなくなって、キミの手や唇に触れられなくなって、僕は自分を半分失ってしまった。キミの存在の大きさに気づいたんだよ。キミが僕のために努力してくれたように、僕はもっとキミの事をすべてわかってあげられるように努力する。だからもう一度僕の恋人になってほしいんだ」

「… …」

ジョンは彩花の答えを待てないと言わんばかりに、彩花にキスをした。最初は固く閉ざしたままの彩花だったけど、本当の気持ちには嘘をつけなくて2人が離れてしまった短くて長い隙間を埋めあった。

――本当は会いたくて会いたくてしょうがなかった。

6月終わりころ、またジョンのお母様が彩花をお茶会に誘ってくれた。この日のために彩花は用意しておいたアフタヌーンティーにまつわる小話を用意していた。というのも、貴族の奥様方は、噂話はもちろん好きなのだが、ちょっとした小話も大好きだということが、ジョンに連れられて社交界に参加しているうちにわかってきたからだ。彩花には最近新しく買い替えたカーテンやカーペットの話なんてものは持ち合わせていないし、新しいドレスを買った話もない。そんな時は、みんながなるほどと思うようなユーモアのある会話をすること、それが素敵なアクセサリーをつけているのと同じくらいの作用を果たすこともわかった。貴族の教養とはマナーだけではなく、いかに起点の聞いた話ができるかが重要なのだ。

お茶会のメンバーは前回と同じでみんな今日も貴族同士の噂話に花を咲かせていた。今日はジョンは参加していなくて、彩花1人だけでの参加だった。
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公開日:
最終更新日:2015/07/31