New ロンドナーになるのだ!

Twiggyをこよなく愛するチオリーヌのロンドンライフやイギリス人夫との国際結婚ネタをお届け!イギリスへのワーホリ、語学留学、国際結婚に興味がある方必読♪

*

31.第3章試練 12節努力の成果

photo31

「そういえば皆様、日本の和食器はお持ちですか? 」
「ええ、もちろんよ。東洋の食器は西洋とはまた違った良さを持っていて私は好きよ」
今まで彩花からみんなに向かって話を振るということはなかったのだが、今日は前のお茶会のリベンジをしたいと張り切っていた。
「実は紅茶の文化のもとは日本の茶道からなんですよ。千利休よりずっと以前の煎茶道の先人達が、日本に来たヨーロッパ人に豊かな茶文化を伝えたんです。この日本のお茶の文化がヨーロッパに広がり、イギリスでは東洋の食器もとても流行したそうです。貴族の方々の建てたお城の一室にはジャパニーズルームが設けられていたとも聞いています。」
「確かに伯父様のカントリー・ハウスには茶室があったわ」
「私の伯母様の宮殿にも茶室が設けられていた気がするわ」
紅茶好きの人たちが集まる場での小話としてはとても魅力的な話だったようで、次のお茶会の時には和食器でテーブルコーディネートをしましょうという話になった。彩花にとって今まで参加した社交界の中で一番自分を出せた瞬間で、着実に努力の成果がでてきていると実感した。
――きっとジョンも喜んでくれるはず!
でもその夜ジョンから電話がかかってきて思ってもいなかったことを言われることに。
「キミ、今日紅茶の文化の起源について話したんだってね」
「うん。みんなね、すごいねえって言ってくれて、次のお茶会の時には和食器でテーブルコーディネートしようって話になったのよ。私ちょっとづつだけど、練習の成果出てる気がする」
「それはよかった。ただ、イギリス人は紅茶の文化は自分たちが作り上げた文化であるという誇りを持っているんだ。特に古い人たちはね。だから、大昔とはいえ、日本からやってきたものだということはイギリス人にとってはプライドを傷つけられるようなものなんだよ」
「え… …。私そんなつもりで言ったんじゃないよ? 」
「もちろんわかってるさ。でも。そう思ってしまう人たちもいるってことを気を付けてほしいなと思って言ってるんだ」
「わかったわ」
わかったとは言ったけれど彩花は無性に腹が立った。彩花にだって日本人としてのプライドがある。それに一生懸命ジョンのためにもがんばっているのに、そう思うと正直やる気を失いそうになった。
ふと彩花は昔ジョンが好きだったという日本人の女の子の事を思い出した。きっとジョンの好きだった女の子は、必死で作法を学んでまでという感じだったのだろう。それにお互い若かったんだろうし、彩花もきっと彼女の年だったらすぐにでも逃げ出してたと思った。
●目次
●『13節結婚は全然違う』へすすむ

公開日:
最終更新日:2015/07/31