New ロンドナーになるのだ!

Twiggyをこよなく愛するチオリーヌのロンドンライフやイギリス人夫との国際結婚ネタをお届け!イギリスへのワーホリ、語学留学、国際結婚に興味がある方必読♪

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32.第3章試練 13節結婚は全然違う

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でもこの時すでに、彩花は大学院卒業まであと1か月をきっていた。この週末もジョンの家の行事に誘われていたけど、疲れているので彩花が断ると、ジョンが久しぶりに家で夕飯を作って食べようと提案してきた。彩花は久しぶりに2人きりで過ごせる時間にウキウキしていて、約束の時間よりも早くジョンの家に着いた。外から窓を叩いて、ジョンを驚かせようと思って、窓の方に向かうと、ジョンは誰かと電話をしていた。
「わかってますよ、お母様。ただ、アヤカは留学生で勉強をしている身ですし、日本とイギリスの文化の違いもあります。私が選んだ人なので間違いはないんです… …」
――お母様と話してる… …。しかも私の事についてだ。たぶん、今日のお呼ばれを断ったことについてジョンがなにか言われてるんだ。どうしよう。ジョンに迷惑かけちゃった。
約束の時間まで、ジョンの家の外でこれからのことを考える彩花。もし、本当にジョンと結婚したら彩花にとってきっと毎週末が苦痛になる。でも、ジョンの事が大好きなことには間違いない。ただ、好きだけじゃ解決できない問題もきっとある… …。
ぼんやり考えすぎて、約束の時間を超えてしまっていた。ジョンからの電話で現実に戻る。ジョンはもちろん何事もなかったかのように、いつもの優しい笑顔を見せて、おいしい夕飯とおいしいワインを用意してくれていて、彩花は本当に楽しくて幸せだった。
――ジョンが旦那さんだったらどんなにいいだろう。優しくて料理も上手で、きっとお父さんになっても、子どもと私を同じくらい愛してくれると思うんだ。
ただ… …。
食事が終わるといつも2人で片づけをする。ジョンがお皿を洗ってくれて、彩花が食器を拭く係。この関係も2人で1つって感じがして彩花は大好きだ。お互い20代で素敵な人に出会って、恋をして、結婚して。普通のカップルならそれが普通の事。
ただ… …。

「ちょっと話をしたいからこっちにおいで」
ジョンといつも一緒に座るソファーに、おそろいで買ったコーヒーカップを持って座った。
「なに?」
「すごく真剣な話だよ。キミはもうあと1か月したらビザが切れて、日本に帰るだろ? 僕はキミと真剣に結婚したいと思ってる。だから、キミが日本に帰るときに、僕も一緒に行ってキミのご両親に挨拶をしたい」
「… …」
「僕と結婚するとなると、キミは日本でフィアンセビザを取得しなくちゃいけないんだけど、6か月の猶予があるんだ。だから、半年間は準備もできるし… …」
「ごめん、できない」
ジョンはすごく驚いた顔をして、彩花から体を離した。
「どうして? キミも僕の事愛してくれているのに?」
「私にとって、キミの今までの暮らしと私の今までの暮らしは違いすぎてきっと限界がくると思うんだ。キミの事は大好きだよ。でも恋人で付き合うのと結婚は全然違うと思う」
「… …」
「私は貴族にはなれない。きっと、キミと結婚してもいろいろな一族の集まりの時に迷惑をかけると思うわ。だから… …」
「それは、僕がちゃんとフォローするし… …」
「ううん。そういう問題じゃないの。ジョンはこれから一族の伯爵として、一族をまた守っていかなくちゃいけない。だからちゃんとした、キミに釣り合う人と結婚して欲しい。私はきっと誰よりもキミの事が大好きだし、これからもキミの事以上に好きになる人は現れないと思う。キミの事を私以上に思う人も現れないかもしれないけどね! 」
彩花は泣かないで気丈にふるまうので精いっぱいだった。幸せだった魔法の時間はおしまい。
――こうするしかないの。
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公開日:
最終更新日:2015/07/31